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ラスクおじさん♪のはらぺこ日記♪

バレンタインチョコをもらったら笑顔でお礼を言うべし♪

2017/02/15 11:03 お菓子 イベント 子ども くらし 家族

 小学校から下校した少年は、玄関先で靴を脱いだ。いつもなら家に上がらずランドセルを玄関先に放り投げて遊びにいくのに、その日は家に上がった。親から留守番を任されたからではない。雨で野球ができないからでもない。その日は、家にいなければ大事なチャンスを逃すことになりかねないから、自宅にいなければならないと少年は思った。

 富山県の片田舎の小学校に通う少年は、2月に入ってクラスの女子達が好きな男子にチョコレートを渡す行事について話題にし始めているのを知った。クラスの男子達はそんな女子達に普段はからかってばかりいるくせに急に優しくなり始めた。少年は5年生になるまでそんな行事があることすら知らなかった。その行事が2月14日に行われることも初めて知った。

 お盆になると村のお地蔵さんのお祭りの日、子ども達がお地蔵さんの家に集まって、お地蔵さんの家に花を飾ったり五色の幕を張ったりして華やかにし、お供物を届けにくる村人の対応をしたり、村人の家を一軒一軒、お菓子をもらいに回った。だから、少年は、最初はお地蔵さんがらみの行事かと思った。でもそうじゃないみたいだとすぐわかった。クラスの女子が、バレンタインとか言っていた。村のお地蔵さんはそんな名前ではなかったからだ。

 お地蔵さん祭りでお菓子をもらいにいった先が不在で何度も出直した経験から、家にいないといけないと思った。少年はうぬぼれていた。自分はかっこよくて女子からも人気があるから、きっと女子が届けにくるはず。だから、家で待機していなければならないと思った。

 ピンポーン。自宅の玄関先のチャイムがなった。少年は心臓が飛び出る思いだった。

 少年の母が、来客を伝えた。頭の中をチョコレート色に染めながら、少年は玄関に行った。クラスの女子が玄関先にいた。よっしゃーと少年は思った。けれども、女子に「なんか用け?」とにらめつけながら声をかけた。内心、嬉しくて顔の筋肉が緩みがちになるのを女子にさとられないようにしなければと顔に力を入れると、にらみつけるような表情になってしまったのだ。

 「あの、これ…」女子は、後ろ手にして隠していた箱を少年の目の前に差し出した。少年は言った。「なにけ、これ?」わかっているくせにぶっきらぼうな口調で聞いた。ますます少年は眉間にしわを寄せていた。女子ははにかみながら「これ、受け取ってくれんけ」と言った。「うん」とだけ言い、少年は受け取った。女子は恥ずかしそうな笑顔を浮かべてそそくさと玄関先を立ち去った。

 女子から受けとった箱を母に気づかれないように服の下に隠して自分の部屋に走り入った。箱を開けてみた。大きなハート形のチョコだった。こんなチョコレートを初めてみた。これがバレンタインというものか!少年は小躍りして喜んだ。

 何十年も前、今では幼児さんでも知っているバレンタインデーが日本でチョコレートとセットで普及し始めた頃の私の思い出話です。

 バレンタインデーだった昨日、私が職場で洗濯物を畳んでいたら、下校した中学3年生の女の子が冷蔵庫から手作りのチョコが入った小袋を取り出して、後ろ手に隠し持って私の傍にやってきて、「これ!」と私に渡してくれました。私は「おお、すごい!ありがとうネ!」と満面の笑みを浮かべて大声で言いました。前日、その子がチョコ作りをしていたのも知っていたし、私にもチョコをくれるとその子から言われてはいたのですけど、やっぱりもらえば嬉しいものです。3つのチョコの上にそれぞれ一文字づつチョコペンで書いてあります。3個で、その子が普段、私を呼ぶニックネームになります。その子は数人いる寮の職員一人ひとりの名前をチョコペンで書いて用意をしていたのです。大変な手間暇がかかっただろうと思います。

 続いて下校してきた小学6年生の女の子が、「義理チョコだからね!」と言いながら手作りチョコを渡してくれました。「あたりまえじゃん!本命チョコだったら困るわ」私は笑いながらそんな軽口を叩きつつお礼を言いました。

 二人とも日ごろから私と一緒にケーキやお菓子作りをしてきた子ども達です。スキルの上達ぶりも目を見張るものがありますけど、それよりも多くもない自分のお小遣いを割いてまで職員にチョコを作ってくれる優しい心の持ち主に成長してくれたことが、私にとって何よりも嬉しいことでした。

 もちろん、何十年も前ににらみつけるような顔でチョコを受け取り、ろくにお礼も言えなかった私も今では笑顔できちんとお礼が言えるようになりました。私も成長したんだなと思いました。

 



 






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